自分に甘いからこそ、辛い環境を選ぶ。メガベンチャーから起業、スタートアップへ、FiNC SREマネージャー鈴木健二のキャリア選択

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株式会社 FiNC TechnologiesでSREマネージャーを務める鈴木健二さん。株式会社DeNAでインフラエンジニアとして経験を積んだ後、スタートアップ立ち上げに従事。その後、株式会社 FiNC Technologiesに一人目のインフラエンジニアとして参画しました。

プレイヤーからマネージャー、フロントからインフラまで、幅広い経験を積んできた鈴木さんは、どのように自らのキャリアを切り拓いてきたのでしょうか。その尽きない向上心の源を伺いました。

プロフィール| 鈴木 健二

2010年にDeNAに新卒で入社し、インフラ基盤にて国内最大級のトラフィックを支えるサーバー運用を担当し、数多くのヒットタイトルの運用に携わる。また、海外向けソーシャルゲームのインフラ基盤や国内外のゲーム開発会社に対するシステムコンサル業務の責任者を担当。
DeNA退社後は、家族向けコミュニケーションアプリを立ち上げ、CTOとしてモバイルアプリの企画、設計、開発、運用を担当する。
FiNC Technologiesに2015年にSREエンジニアとして入社。サービス基盤のDocker化やCI/CDの整備などバックエンドの改善を行う。SREチームのマネージャーを経て、現在はシニアテクニカルリードマネージャーを兼務。

“かっこいい”が原動力だった学生時代

―まずはプログラミングをはじめたきっかけ教えてください。

高専時代、1年間くらいかけてロボットを作る授業があったんです。そこで、ソフトウェアを開発したのが始まりですね。プログラミングに強く関心があったわけではなく、物理や数学、機械工学、電子工学など同じく、一つの教科として学びました。

―そもそも、高専に進学したきっかけは何だったのでしょうか?

幼い頃から、ロケットのような、かっこいいモノを作ってみたいという漠然とした気持ちがありました。父が兄のバスケットゴールを作るなど、何でも自作する家庭で育ったことも影響していると思います。

—高専卒業後は環境エネルギーコースに進学していますよね。モノづくりからは、徐々に関心が移っていったのでしょうか?

物理や化学により関心を持つようになりました。とくに核融合に興味を持ち、小さな物質から膨大なエネルギーを生み出せる仕組みが面白いな、と。

しかも、その仕組みは、たった一つの式から成り立っている。「理論上こうなる」と立てた式をもとに、信じられないくらい大きな設備を用意して、事象として実現させる。これにはロケットを開発するのと同じくらい、かっこよさを感じていました。

—そのまま研究を続けるのではなく、DeNAへ入社を決めたのは、なぜだったのでしょう?

博士課程か就職か迷っていた時期に、DeNAのインターンに参加しました。そこで、社員の情報整理力、課題解決力に圧倒されて。

プログラム内容は1ヶ月かけて新規事業案を練り、プレゼンするというもの。インターン同士だと、度々議論が行き詰まるのに、メンターの社員がサポートに入ると、途端に全員の目線が揃い、議論がまとまっていった。当時の私には魔法みたいに思えました。

恐らく、彼らのような力は大学院では身につかないかもしれないなと思い、入社を決めました。

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辛い経験から得た成功、甘い判断が招いた失敗

―DeNAには技術職として入社したんですか?

当時は総合職の枠しかなく、入社してから希望者がエンジニアとして配属される形でした。当時、アプリ開発を希望する人が多いなか、私はインフラにも興味があると、入社後のアンケートに答えたら、次の日からインフラエンジニア研修が始まりました。

インフラ基盤の構築・運用部隊は、「やっていることが専門的すぎて、怖い集団だ」と周りから聞いていたのですが、インフラ基盤が組織に与えるインパクトの大きさにも魅力を感じていて、せっかくなら飛び込んでみたいな、と。

—“怖い集団”に飛び込んでみた結果、どうでしたか?

最初の1年くらいは相当辛かったですね。配属してから半年は、システムのアラートに対応する仕事を担当していて、夜の障害対応について翌朝注意を受ける日々を送りました。わからないものは人に聞き、次からは自分でやる。これをひたすら繰り返していました。

そうやって食らいついていくうちに、ある日、怒られなくなっていると気づきました。周囲との関係も良好になって仕事もやりがいを感じられるようになっていった。辛い道を走り抜くと、それまでにない世界が見えるんだなと強く感じましたね。

—入社して初めての成功体験として印象に残っているんですね。他に印象深い出来事ってありますか?

逆に、今でも後悔してる失敗体験があります。ちょうど、アラートに対応できるようになって、サーバーのキャパシティ計算などに携わりはじめた頃のことです。

金曜日の夜、今のキャパシティだと土日のゲーム内イベントに耐えられない可能性があることに気づきました。けれど、どう対応すればよいのかわからなかったし、金曜の遅い時間だったので上司に相談するのも申し訳ないと思い、そのままにしてしまった。結果的に何事もなかったんですが、モヤモヤが残りました。

「こんなこともわからないのか」と思われる怖さや、上司への申し訳なさから行動できない自分に対してです。以降、任された領域に対し、やれることはすべてやるべきだと、責任に対する意識が大きく変わりました。

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急成長のメガベンチャーから、迷わず新しい挑戦へ

—インフラエンジニアとして一人前になったな、と自覚できたのはいつ頃だったんですか?

お願いされたことを何でも対応できるようになったのは3年目くらいですね。海外版ゲームのインフラ構築も経験し、4年目にはサードパーティーにアドバイスをすることもありました。

—起業を意識し始めたのもその頃ですか?

そうですね。やりきったなという気持ちが芽生えていた頃、ちょうどそのタイミングに友人から起業しないかと誘われたんです。入社当時から、起業をしてみたい気持ちはあったし、きっと新しいチャレンジができると思い、CTOとして立ち上げから携わることに決めました。

—メガベンチャーから起業だと環境も大きく変わると思いますが、とくに大変だったことはありますか?

技術面ではほとんど苦労しなかったです。サーバーサイドは前職の知識を流用できましたし、クライアントサイドも仕事を辞めてから集中的に勉強する時間がありました。

サービスの企画は未経験だったので、慣れるまでは時間が必要でした。ただ、ゼロから作り上げていくのは、面白かったです。関わる領域が増えて忙しくはなりましたが、毎日新しい刺激があり、充実していましたね。

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—立ち上げた会社はその後どうなったのでしょうか?

無事にサービスはローンチできたのですが、会社自体は継続しないことになりました。いくつか理由はありますが、もっとも問題だったのは、「なぜ作りたかったのか」について共通認識を持てていなかったこと。共通のミッションがないからこそ、サービスをどうしていくのか、向かいたい方向にズレが生じてしまいました。

そこから半年間ほど、2つの企業でフリーランスエンジニアとして働きました。そのうちの1社が、現在働いているFiNC Technologiesです。

入社の決め手は、ミッションへの共感と山積みの課題

—FiNC Technologiesに入社を決めたのはなぜだったのでしょう?

組織が掲げるビジョンの大きさや取り組みたい課題への意識に惹かれました。加えて、社長の溝口が、そのビジョンを実現していく推進力を持っていた。

また、当時のFiNCはすでに一定規模のユーザーを抱えていたのに、インフラエンジニアが一人もおらず、インフラ環境にまつわる課題が山積みだった。この状態だといずれ潰れるな、と危機感を覚え、入社を決めました。関わっていた2社のうち、圧倒的に大変な方を選びました。

—新卒から起業、転職と、常にチャレンジングな道を選んでますよね。

あまり自覚してなかったんですが、振り返ると確かにそうですね。きっと、DeNAでの経験から、辛い道を選んだ方が得られるものが大きいと信じているんだと思います。

それに、自分に甘いところがあって。土日とか何も予定がないとダラけてしまう。だからこそ、挑戦できる環境に身を置いておきたい。

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—FiNCは予想通り大変な環境でしたか?

そうですね(笑)。ただ、技術的な課題は明確で、あとはやるだけの状態でした。まず取り組むことになったのがインフラ環境の整備。他にも、サーバーサイドやデプロイフローの調整など複数の領域を横断的に担当しました。

エンジニアリングの課題よりも挑戦だったのが、組織づくりや採用でした。最初のころは、ほぼ一人でインフラ周りを見ていたのですが、時間的な限界もあれば、扱う領域に求められる知識も増えていく。

新しく人を採用して、SREチームを組織したのですが、最初に入ってくれたメンバーとのやりとりから躓きました。それまで何を進めるにしても一人で完結していたけれど、頭の中にある暗黙知を言語化して伝えていく必要がある。そこは試行錯誤が続きましたね。

—元々、組織づくりや採用に関心はあったのでしょうか?

DeNAの頃から多少関心はありましたが、FiNCに入って一層重要性を感じるようになりました。例えば、人が増えても開発速度が高まらないとき、根っこには組織の体制や動き方に課題があるケースが多い。自動化の推進や新しく入った人の育成、開発体制の改善など、やるべきことも多く、どれも一筋縄ではいかないからこそ、面白さも感じていますね。

—具体的にどの辺りに面白さを感じていますか?

的確に配置をすれば自ずとうまく回り始めるという点で、インフラ基盤の構築・運用と組織設計は似ていると思います。もちろんシステムと違って、人は揺らぎますし、それゆえの難しさはありますが、その不確実性が面白い。

また、自分とは異なる知識や経験を持つ人を集め、思う存分やりたいことを実現してもらう方が、組織全体の成長も早くなる。以前は、自らが新しい技術を学ぶのが楽しかったのですが、今はチームメンバーがどうしたら力を発揮できるかを考えることが増えていますね。

組織は不確実性だらけ、だからこそ面白い

─社内でも1on1を定期的に実施していますよね。相手のやりたいことを引き出す上で気をつけていることはありますか?

基本は応援をするスタンスで話を聞き、その上で、壁になりそうな部分を共有するよう意識しています。例えば、アイデアは良くてもコミュニケーションが苦手だと、衝突が起きてしまうこともある。その場合は「なぜ相手が受け入れてくれないか」を一緒に考えるとか、前向きな後押しができるよう心がけています。経験の浅いメンバーに対しては、もう少し具体的に解決方法を提示することもあります。

—kiitokでメンターをする際に意識していることはありますか?

基本は社内で行うときと変わらないですね。考える余白を残しつつ、背中を押すよう意識してます。ウェブ業界においては、インフラからフロントまで一通り触れていますし、マネージャーもプレイヤーも経験しました。なので、どのレイヤーの人が来ても、一定理解はできるので、その上で打開策を一緒に考えていけたらと思っています。

—ありがとうございました!

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