24歳でCTOオブ・ザ・イヤーに登壇したエンジニアがキャリア初期に見落としていた成長ファクターとは?

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仮想通貨の市場予測サービスなどを手がける株式会社FACTBASEでCTOを務め、今年2019年2月に自身の会社を起ち上げた前田翼(まえだつばさ)さん。前田さんはエンジニアとしてどういった志向を持ち、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。詳しくお話を伺いました。

プロフィール| 前田 翼

大阪大学4年次に休学し、2017年11月より株式会社FACTBASEのCTOとしてゼロからのエンジニア組織の構築に従事。 CTOオブ・ザ・イヤー2018で、FACTBASEでつくりあげたOSSコミュニティを活かした新しいエンジニア組織に関して登壇。 React Native(Expo)を使ったアプリ開発の知見を集約した『実践Expo』を出版。 2019年2月エンジニア等の潜在能力をもっと社会に認めさせたいという思いから、株式会社ドを設立。同年4月から大阪大学に復学予定。

大学時代に手探りでAndroidアプリを開発

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―まずはエンジニアリングと出会ったきっかけから教えてください。

中学・高校の頃からPCを使うのは好きで、ゲームのデータをいじっていたりしました。初めてプログラミングをしたのは大学に入ってからです。
当時はFacebookなどのソーシャルメディアが盛り上がり始めた時期でした。「自分もアプリをつくりたい」と思い、大学2年の時にAndroidのアプリ開発の本を買って独学で始めたんです。

最初につくったのはオセロゲームです。徹夜でプログラミングを続けて何とか仕上げたものの、通信対戦するための方法がわからず、姉の知り合いのエンジニアに相談しました。それに対して返ってきたのは「MySQLとPHPをググってみよう」だけでした(笑)。

当時はデータベースサーバーとアプリケーションサーバーの違いも知らず、何のことかまったくわからなかったのですが、「とにかくこれがヒントらしいぞ…」と。そこからさらに本を読み、独学で勉強を続けてRuby on Railsにたどり着き、通信対戦ができるようにまでなりました。

このアプリ開発とほぼ同時期にリクルートとサイバーエージェントのインターンにも参加しました。 いま思えば、このインターンが自分にとっては貴重な経験となりました。

それまではプログラミングができるだけで特殊な人だと思っていたのに、周囲を見渡すと自分とほぼ同年齢ですごい技術を持っている人がざらにいたんです。
インターンの課題だったアプリ開発でも見事に負けて、こうした人たちにもっと早く出会えていればと強く感じました。

大学時代の同僚とAI×仮想通貨の事業をスタート

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―その後、2016年10月に大学の同級生が起業したEzmomへ参加します。この決断にはどういった背景があったのでしょうか?

大学3年の頃にカナダへ留学しており、帰国した後に半年間の休学期間が残っていたんです。インターンの時の体験が強烈だったこともあって、時間があるうちにできるだけ早く現場を経験しておきたいと考えていました。

Ezmomではゲーム攻略のwebメディアを運営しており、起業した同僚と一緒にRubyで書いていたんですが、2人でやると自分がコードを書いていない時も仕事が進むし、自分と違う書き方を発見できました。
当たり前のことなんですが、学生時代のアプリ開発から含めてずっと自分1人でやってきた僕にとっては新鮮でした。

そしてその後も復学をせずにEzmomにフルコミットをしていたのですが、webメディアだけにずっと携わっているとやはり停滞感が生まれてきました。

Ezmomでも1年くらい同じ仕事を続けていて、「このままでいいのか…」と感じていたのですが、ちょうどそのタイミングで会社が仮想通貨事業をスタートすることになったんです。またこのタイミングでFACTBASEと社名も変更し、私もCTOに就任しました。
 
 

―具体的にはどういった事業ですか?

AIによる一般投資家向けの仮想通貨の情報提供サービスです。同僚に自然言語処理の研究者がいて、彼は大学院時代に金融市場におけるテキスト情報を用いた分析をしていました。仮想通貨市場が盛り上がる中、データは未整備のままで、それらの技術を仮想通貨向けに応用出来ないかと考えていました。

僕らが提供出来る情報は、特定の通貨に対して市場がポジティブなのかネガティブなのかという感情分析情報です。
その情報を使って一般投資家がより安定した投資の判断をしてくれることを期待していました。

ただ実際には、一般の人がAIに期待するのは結局のところ、100%に近い精度で当たる裏技的な予測であり、現実的にそんなプロダクトを開発するのは難しかったです。

その結果、FACTBASEの事業 は、AIによる情報提供から人の手を介した仮想通貨のトピックス配信、ニュースサイト事業のようなものへと変わっていきました。

 
 

―そのような事業変遷の中で、どのような組織運営をしていたのですか?

まずは自分自身がCTOとしてゼロから組織をつくるところから始めることになりました。

組織開発の戦略としては、1つの言語に尖って開発することと、オープンソースにも貢献することです。 特定の領域に特化することで周囲の人たちの力を借りられるし、オープンソースだとコードレビューもされるので自分たちのスキルも上がります。
また開発言語のコミュニティを通じて、一緒に関わってもられる仲間も増えてきました。

そして、関わってもらう方には、できるかぎり気持ちよく働いてもらうことを意識して、大胆に任せることを意識してました。
 
 

起業家と学生の二足のわらじを歩む意味

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―前田さんは今年2月にFACTBASEを退職し、母校の大阪大学に復学するとともに、自身の会社を起ち上げましたが、この背景は?

大学に復学した理由はいくつかありますが、その一つは起業家*学生という立場が新しいチャレンジに取り組みやすいと思っているためです。
 
 
ーどんなチャレンジを?

ちょっと話が大きくなりますが、僕は「明日をよくしたい」という強い想いをもっています。自分が死ぬ時に「何かを残していて、その残した何かが今後の世界をよくしていける」と思っていたいんです。
そういったものを生み出したいというのが最終的なゴールにあります。

そのためのまずは第1歩として、資本市場で受け入れられるものをつくりたいと考えています。
端的にいうのであれば、世の中に求められる事業をつくって、マネタイズをさせるということを短期的な目標としています。

そしてその事業を成立させるための組織をゼロからつくる必要があるわけですが、その組織をまだ色に染まっていない学生と一緒につくりあげたいと考えています。

その背景として、メルカリの「Go Bold」のように、組織は価値観など目に見えないものをインストールするだけで、生み出すアウトプットが変わる事があり、それを実践したいと思っています。

メルカリも、あの言葉があるとないとでは成長は大きく変わっていたんじゃないと思います。物理的・エネルギー的に何か増えたわけではないのに、何かが増えている。そこに非常に面白みを感じています。

そこで、そういった新しい価値観とともに組織をつくるときに、まだ色に染まっていない、かつフレキシブルな動きができる学生だとより効果が生まれやすくなると思い、学生*起業という選択をしました。
 
 

自分が置かれている環境をもっと疑うべき

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―前田さん自身のキャリアの中で失敗したと感じていることはありますか?

総じて環境を軽視していたことです。 学生時代のアプリ開発にしても、プログラミングの勉強に打ち込む一方、自分が置かれている環境についてはまったく疑わず、「すぐ近くにもっといい環境があるかもしれない」、「優秀な人と出会えるかもしれない」とは考えませんでした。環境に目を向けていれば、もっと早く成長できていたと思います。
 
 
―なるほど。その経験がFACTBASE時代の組織づくりやkiitokに参加するきっかけとなったんですね。

ここからはメンタリングへの意気込みについて伺いたいのですが、他のエンジニアからキャリアや仕事の悩みについて相談を受けた際、前田さんはどういった形で話を進めますか?

社内のメンバーかそうでないかによって違ってきますが、社内のメンバーなら、最初に目標は何か聞きます。そこに立ち戻れば視野が広くなっておのずとタスクも整理されますし、具体的な解決方法も見えやすくなってくるからです。

一方、社外の人の場合、まずはざっくり描いている自分のやりたいことやイメージを話してもらいます。そこから自分の経験、他のエンジニアの事例などをもとにアドバイスしていきます。

目標やビジョンがはっきり定まっていない人に対しては、こちらから具体的な選択肢を示すのではなく、できるだけ引き出したいと思っています。

他人が示した選択肢に従って得られるリターンはあくまで一定のものですが、自分で熟慮したうえでの決断は、その次の決断にもプラスに作用します。迷うことの多い難しい決断ほど、できれば自分で選んでほしいですね。 そのためのアドバイスは惜しみません。
 
 

―たとえば、就職先に悩んでいる高専の生徒、「一定のコードは書けるけど、企業やビジネスのことはわからない」という学生さんがいたら、前田さんはどうアドバイスしますか?

「こういう選択肢があるよ」と示すより、「まずは働いてみたほうがいい」と言うと思います。エンジニアであれば転職はいくらでもできますし、逆に1社目で当たりを引ける確率は高くありません。新しい技術が出てくれば開発の環境もどんどん変わっていきます。

だからこそ動き出しの早さが大切。自分のキャリアを振り返ってみても、いち早く行動して自分だけの環境から抜け出すことが大事だと感じています。
 
 
―同僚や周囲の人からどんな人だと言われますか?

ひとつひとつの言葉の定義や相手が言ったことの意味合いを突き詰めて理解していくタイプなので、「哲学っぽい」と言われます(笑)。自分としては、性格的にはポジティブだと思っています。
 
 

―プライベートはどう過ごされていますか?

修行っぽいことをするのが好きですね。英語の発音をひたすら練習したり…常に「前に進んだ」という実感が欲しいんです。

あとは旅行。土日だけで海外に出かけたりします。たまに予定調和から抜け出して、理解できないものに触れたくなる。それも修行のようなものかもしれませんね(笑)。

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